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安全保障関連法案に反対する東京工業大学有志のアピール(旧声明)

私たち東京工業大学有志は、現在国会で審議されている政府提出の安全保障関連法案に対して、立憲主義、民主主義、基本的人権の危機の観点から反対し、その廃案を求めます。

 

 本法案は、①日本が攻撃を受けていなくても他国が攻撃を受けて、政府が「存立危機事態」と判断すれば武力行使を可能にし、②米軍等が行う戦争に、世界のどこへでも日本の自衛隊が出て行き、戦闘現場近くで「協力支援活動」をする、③米軍等の「武器等防護」という理由で、平時から同盟軍として自衛隊が活動し、任務遂行のための武器使用を認めるものです。

 

 安倍首相の言う「武力行使は限定的なもの」であるどころか、自衛隊の武力行使を際限なく広げ、「専守防衛」の建前に反することになります。武器を使用すれば、その場は交戦状態となり、憲法九条一項違反の「武力行使」となることは明らかです。60年以上にわたって積み重ねられてきた「集団的自衛権の行使は憲法違反」という政府解釈を安倍政権が覆したことで、米国の侵略戦争に日本の自衛隊が参戦する可能性さえ生じます。日本が戦争当事国となり、自衛隊が国際法違反の「侵略軍」となる危険性が現実のものとなります。

 

 大多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、さらには元最高裁判所長官までもが指摘するように、本法案は日本国憲法の平和主義に反する違憲法案であることは明らかです。安倍内閣はこのような違憲法案を、憲法改正を経ずして、一片の閣議決定によって憲法の解釈を独断的に変更し、「集団的自衛権は合憲」と強弁し成立させようとしています。これは立憲主義に反するばかりか、知性に対する冒涜で、断じて見過ごすことはできません。

 

 私たちは、かつて日本が行った侵略戦争に、多くの学徒を戦地へ送ったという、大学の戦争協力の痛恨の歴史を担っています。その歴史への深い反省から、憲法九条とともに歩み、世界平和の礎たらんと教育研究活動にたずさわり、再び戦争の惨禍を到来させないようにしてきました。二度と再び、若者を戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを認めることはできません。

 

 政府は、衆議院審議において「国民の理解が進んでいる状況ではない」と言いながらも強行採決を行いました。参議院審議においても法案の問題点が多数指摘されているにもかかわらず、再び強行採決を行う構えです。安全保障関連法案に対する反対の意見も強く、また法案成立を急ぐことへの懸念を持つ人が圧倒的に多数であるにも関わらず、このようなことを行うのは、議会制民主主義、さらには主権在民と民主主義の原理をふみにじるものであり、許されることではありません。

 

 私たち東京工業大学の教職員、学生、卒業生有志は、学問と良識の名において、違憲性のある安全保障関連法案が国会に提出され審議されていることに強く抗議し、それらの法案に断固として反対します。また、この法案への反対、抗議に賛同されるよう東京工業大学の教職員、学生と社会のあらゆる人に訴えます。

 

 

2015年9月8日

        安全保障関連法案に反対する東京工業大学有志の会

 

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